HubSpotとのデータ連携でDXを推進!データ連携方式5選を徹底解説!

HubSpotとは、マーケティング、営業、カスタマーサポートの全ての業務をつなげる機能を備えた統合型のCRMプラットフォームです。

社内のアプリやシステムで利用しているデータをHubSpotと同期して、マーケティングや営業、カスタマーサポート業務に有効活用したい場合は、HubSpotと外部アプリやシステムとの「データ連携」が必要になってきます。

そこで、本記事ではHubSpotにおけるデータ連携の重要性と、データ連携の方法5つをご紹介します。ぜひ参考にしていただき、連携を行いたいアプリやシステムの特徴に応じて効率的にデータ連携を行ってください。

HubSpotとのデータ連携の特徴

「データ連携」とは、一般的に異なるアプリやシステム同士でデータを共有・同期するプロセスを指します。

HubSpotはマーケティングや営業、カスタマーサポート業務が中心となるため、特に「CRMデータ(コンタクト、会社、取引、チケットなど)」を外部のアプリやシステムと同期するケースが多く、データ連携を実施することで、HubSpot上で管理されているCRMデータを他のアプリやシステムで活用することや、反対に他のアプリやシステムのCRMデータをHubSpotに取り込むことが可能となります。

これにより、社内に散財している各システムで一貫した情報を保持し、業務の効率化を図ることができます。マーケティングや営業、カスタマーサポートで活用するCRMデータの同期は、顧客とのやり取りを一元管理し、顧客体験を向上させるためにも非常に重要です。

HubSpotデータ連携の目的

HubSpotを利用してデータ連携を行う目的としては、以下の4つが挙げられます。

  • 業務の効率化
    複数のアプリやシステムを行き来して業務を行うことで、データがサイロ化され、業務フローが複雑化します。業務の効率が悪くなるだけでなく、ミスの原因にもなるでしょう。データ連携を行うことでデータを一元管理することができ、業務の効率化へとつながります。
  • リアルタイムなデータ活用による迅速な意思決定
    リアルタイムなデータ連携で、ひとつのCRMプラットフォームにデータを統合することにより、営業チームやマーケティングチームなど、チーム間での情報共有が容易になり、より迅速な意思決定が可能となります。
  • 他のアプリやシステムの機能の有効活用
    データ連携により、他のアプリやシステムの機能を最大限に活用できるようになります。
    例えば、HubSpotとGoogle Search Consoleとの連携では、検索キーワードなどを含むWebサイトのトラフィックデータをHubSpot上で分析できるようになり、よりデータドリブンなマーケティング戦略やSEOの実行が可能となります。
  • 顧客満足度の向上
    マーケティングや営業、カスタマーサポートがひとつのCRMプラットフォームを活用し、各チームの対応状況を理解した上での顧客対応が可能となるため、顧客に対する迅速かつ的確な対応を通じて、顧客満足度が向上が期待できます。

HubSpotでデータ連携を行う5つの方法

HubSpotでデータ連携を行う場合は、大きく分けて5つの方法が挙げられます。

  1. HubSpotのアプリマーケットプレイスを利用する
  2. サーバレス関数を利用する
  3. HubSpot API連携を利用する
  4. ワークフロー機能を利用する
  5. 外部のデータ連携サービス(iPaas)を利用する
 
それぞれの連携方法について詳しく解説していきます。

1. アプリマーケットプレイスを利用したデータ連携

データ連携の概要と方法

HubSpotのアプリマーケットプレイスでは、Salesforce、Slack、Gmailなど1,000件以上のアプリ連携サービスが登録されています。

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アプリマーケットプレイスからHubSpotと連携を行いたいアプリを選択し、アプリをインストール後、数ステップで簡単に設定を完了することができます。比較的、専門的なスキルがなくてもデータ連携を行うことが可能です。

アプリマーケットプレイスを利用したデータ連携のメリット

 
アプリマーケットプレイスを利用したデータ連携のメリットとして、設定作業の簡素化が挙げられます。
 
アプリをインストールし、アプリのログインやデータのマッピング(紐付け)など必要な設定を行うだけで連携が完了するため、技術的な知識がなくてもノーコードで連携を行うことが可能です(外部のアプリ側での設定が必要になる場合もあります)。マーケットプレイスに登録されているアプリであれば、複数のアプリとHubSpotがとシームレスに統合でき、運用も簡素化されます。
shopify-mapping

アプリマーケットプレイスを利用したデータ連携のデメリット

 
デメリットとしては、利用に関して、HubSpot側や外部アプリでのライセンス契約に制限がある場合や、アプリによっては別途で課金が発生する可能性が挙げられます。
 
そのため利用する際には、ライセンス契約状況や費用面での十分な確認が必要となり、連携する数によってはその分費用も増加し、予算管理が重要となります。

2. サーバレス関数を利用したデータ連携

サーバレス関数を利用したデータ連携の概要と方法

「サーバレス関数」とは、個別のサーバーの構築や管理を必要とせずに、サーバー上で独自に作成した小さなプログラムを実行できる仕組みです。

HubSpotのサーバレス関数では、HubSpotのプラットフォーム内での特定のイベントに応じてコードを実行させることができます。例えば、あるページが開かれたときに、特定のJavaScriptのイベント処理を実行させるなどです。また、HubSpotの「Webhook」や「ワークフロー」機能と連携することで、特定の業務要件が満たされたときに実行されるプログラムを作成することも可能です。

HubSpotのサーバレス関数は、データの取得や更新、外部とのAPI連携、データのフィルタリングや変換など、さまざまな処理を実行する「JavaScript」「エンドポイントのURL(外部から呼び出し可能なWebhook URL)」で構成されます。

そのため、外部のアプリやシステムから各種イベントに応じて、サーバレス関数のエンドポイントURLを呼び出してもらうことで、サーバレス関数のJavaScriptが起動し、外部アプリやシステムのデータを取得し、そのデータをHubSpotのCRMデータに書き込む(または、HubSpotのCRMデータを取得し、外部アプリやシステムに送信する)などのデータ連携の仕組みを構築することが可能です。

サーバレス関数を利用したデータ連携のメリット

 
サーバーレス関数を利用することで、複雑なビジネスロジックを実装し、細かいデータ処理を行うことが可能になります。例えば、特定の条件に基づいてデータをフィルタリングしたり変換したり、様々なトリガーイベントに応じてアクションを実行したりするなどです。

サーバレス関数は、一般的なサーバー管理の手間を省き、必要な時にのみコードが実行されるため、リソースの無駄がありません。これにより、運用コストの削減や開発効率の向上が期待できます。例えば、定期的なデータ処理タスクや定型業務を自動化することで、人為的ミスの減少や業務効率の向上が実現できます。

サーバレス関数を利用したデータ連携のデメリット

HubSpotでサーバレス関数を利用するためには、Content Hub Enterprise以上のライセンスが必要となるため、ライセンスコストが増加します。

また、サーバレス関数の開発はサーバーサイドプログラムの開発が必要となるため、エンジニアリングのスキルが求められ、開発エンジニアのリソースが必要です。自社で対応できない場合は、外部の開発エンジニアへの委託や開発期間の調整が必要となり、導入までのハードルが若干高くなるケースもあります。

3. HubSpot APIを利用したデータ連携

HubSpot APIを利用したデータ連携の概要と方法

「API(Application Programming Interface)」とは、ソフトウェアやシステム間でデータをやり取りするためのインターフェース定義を意味します。

HubSpotのAPIを使用すると、外部アプリやシステムから、HubSpotのさまざまなリソース(マーケティング、CMS、CRMリソースなど)に対してアクセスができ、外部からコンテンツやデータの操作が可能となります。

APIの基本構造は、「リクエスト」を送信し、「レスポンス」を返します。例えば、日常でよく使う天気予報のアプリでもAPIが利用されています。アプリが「今日の天気はどうですか?」とAPIにリクエストを送ると、APIは「今日の天気は晴れです」といった情報を返してくれるようなイメージです。

HubSpotはAPIの仕様を公開しているため、システム開発者は、こちらのAPIドキュメントを参考に、必要なエンドポイントとプログラムを利用してデータ連携を実装することが可能です。

HubSpotのAPIを活用することで、顧客情報や取引データなどのCRMデータのみならず、アナリティクスやマーケティングコンテンツなど、HubSpot内のさまざまなコンテンツやデータを他のシステムと統合することが可能となります。

HubSpot APIを利用したデータ連携のメリット

 
外部アプリやシステムのエンジニアは、HubSpotのAPIを利用して独自のデータ連携開発を行うことができ、HubSpot側では構築開始時のAPIキーの発行やプロパティ設定等の対応のみで、複雑なプログラム開発は不要となります。
 
また、HubSpot APIは、開発者向けの豊富なドキュメントとサポートが整備されているため、初めてAPIを利用する場合でも、手順に従ってスムーズに実装することができます。APIエクスプローラーなどのツールを使用することで、リアルタイムでAPIリクエストをテストし、レスポンスを確認することができるため、開発プロセスが効率化されます。

HubSpot APIを利用したデータ連携のデメリット

外部アプリやシステムのエンジニアがHubSpot APIの仕様を調査・理解し、適切なシステム開発を行う必要があるため、開発エンジニアのリソースが必要になります。自社で対応できない場合は、外部の開発エンジニアへの委託や開発期間の調整が必要となり、導入までのハードルが若干高くなるケースもあります。

4. ワークフローを利用したデータ連携

HubSpotのワークフロー機能を活用したデータ連携は、Operations Hub Professional以上のプランで利用できます。

ワークフローを利用したデータ連携の概要と方法

HubSpotのワークフロー機能を利用することで、特別なプログラミング知識がなくてもデータ連携を実現できます。ワークフローの設定では、トリガーとアクションを設定するだけで、データの自動連携が可能です。(ワークフローについては、こちらの記事も参照ください。)

例えば、前述したアプリマーケットプレイスでGoogleスプレッドシートアプリをインストールし、ワークフローのアクションの中で設定することで、自社のWebサイトを訪問したユーザーがフォームを送信するとGoogleスプレッドシートに行を追加(または更新する)といったことがノーコードで実現できます。(Googleスプレッドシートとの詳細な連携方法はこちら

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メリット

マーケットプレイスに登録されており、ワークフロー内で活用可能な場合は、簡単な設定のみで連携が完了するため、プログラミングの知識がなくても利用できます。直感的なインターフェースで簡単に設定でき、迅速に運用を開始できます。

デメリット

 
Operations Hub Professional以上のプランに加入する必要があるため、ライセンスコストが増加します。
 
また、複雑な要件に対応するためには、Webhookを活用したデータ連携*や、ワークフロー内でカスタムコードの開発(Node.jsまたはPythonによる開発)が必要となることがあり、この場合、開発エンジニアのリソースが必要となります。自社で対応できない場合は、外部の開発エンジニアへの委託や開発期間の調整が必要となり、導入までのハードルが若干高くなるケースもあります。
 
*Webhookを利用したデータ連携では、外部のアプリやシステムからWebhookを受信した場合にHubSpotのワークフローを起動する方式と、HubSpotワークフロー内のアクションで、外部のアプリやシステムに対して、Webhookでデータを送信する方式の2パターンが可能です。
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カスタムコード開発のサンプル画面例

5. 外部のデータ連携サービス(iPaaS)を利用したデータ連携

「iPaaS(Integration Platform as a Service)」とは、複数のアプリやシステムなどで管理されている独立されたデータを中間的な立ち位置でコネクターなどを通じてデータ連携するためのデータ連携ソリューションです。

代表的なサービスとしては、マイクロソフト社のPower AutomateやZapier、MuleSoft、Workatoなどがあげられ、ここでは、Zapierを例に解説します。

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Zapier

データ連携の概要と方法

ZapierはiPaaS(Integration Platform as a Service)の一種であり、異なるアプリケーション間でデータを連携させるためのクラウドサービスです。

Zapierでは、7000以上のアプリケーションコネクターがすでに用意されており(2024年6月時点)、登録されているアプリ間であれば、専門的なプログラミング知識がなくても管理画面からの設定のみでデータ連携が可能です。

また、連携したいアプリやシステムがZapierに登録されていない場合でも、カスタムコードの開発などで、対応するデータ項目を紐づけてデータ連携することも可能となります。

Zapierは、HubSpotのコネクターをサポートしているため、外部のアプリやシステムもZapierでサポートされていれば、HubSpotと外部アプリのデータ連携は簡単な設定のみで対応可能です。また、データ連携のみならず、特定のイベントに対して、Slackに通知を送るなどさまざまな活用方法があります。

メリット

 
ZapierのようなiPaaSサービスを利用する大きなメリットは、既にさまざまなアプリやシステムとのコネクターが用意されている点です。個別にWebhookやAPIを活用した連携開発を実施する必要がなく、管理画面のワークフロー内のドラッグ&ドロップやデータ入力のみでデータ連携ができる点です。
 
また、iPassSサービスでは、豊富なテンプレートを提供しており、一般的な連携シナリオに基づいたワークフローを素早く構築することもできます。これにより、設定時間を大幅に短縮し、すぐに業務プロセスの自動化を開始できます。
 
さらに、イベントトリガーや定期的なスケジュール起動のデータ連携を行うことができるため、ほぼリアルタイムでのデータ連携が実現できます。これにより、常に最新の情報がアプリやシステム間で同期され、ビジネスの意思決定に役立てることができます。

デメリット

ZapierのようなiPaaSサービスの利用には月額料金がかかるため、コストが増加します。Zapierを例にすると、無料プランもありますが、月に100タスク(Zapierのタスクを起動する回数)までの制限があるため、一般的な企業で利用する場合には、何らかの月額料金が発生すると考えた方が得策です。(データ連携の頻度やタスクの実行数によっては、費用が予想以上に高くなることがあるため、注意が必要です。)
 
また、連携したいアプリやシステムがZapierに登録されていない場合は、カスタムコードの開発などが必要となるため、開発エンジニアのリソースが必要となります。自社で対応できない場合は、外部の開発エンジニアへの委託や開発期間の調整が必要となり、導入までのハードルが若干高くなるケースもあります。

まとめ

HubSpotとのデータ連携は、HubSpotや外部のアプリやシステムをより効果的に活用するための重要な要素です。

各方法にはそれぞれのメリットとデメリットがあり、組織のニーズやリソースに応じて最適な方法を選択することが求められます。

適切なデータ連携を行うことで、企業内でのCRMデータの一元管理が可能となり、顧客体験の向上や業務効率の向上に繋がることが期待できます。

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