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営業スキルをあげる心理学テクニック10選!

作成者: アクセサイト編集担当|2024.10.4

営業の現場では、顧客の心をつかむことが重要です。営業担当者は、顧客のニーズや欲求を理解し、最適なアプローチを提供する必要があります。

そのために役立つのが「心理学を考慮した営業テクニック」です。心理学の知識を応用することで、BtoB営業の効果を最大化し、成約率を高めることが可能です。

今回は、営業に役立つ心理学のテクニックを10選を紹介し、それぞれが営業のどの段階で有効かを解説していきます。

心理学を考慮した営業テクニックとは

営業活動は、顧客との深い信頼関係を築き、相手のニーズに応じた解決策を提供するプロセスです。

相手が「どのように考え、どのように意思決定するか」を理解することが、成約への鍵となります。ここで登場するのが「心理学的テクニック」です。

心理学的テクニックを営業に取り入れるメリット

心理学的アプローチを営業に取り入れると、以下のようなメリットがあります。

  • 顧客の行動パターンや意思決定プロセスを予測しやすくなる
  • 信頼関係を強化し、競合他社との差別化が図れる
  • 提案をより効果的に行えるため、成約率が向上する

営業における心理学的テクニックを活用することで、顧客とのコミュニケーションがスムーズになり、信頼関係を築くことが可能になります。

では、具体的にどのような心理学のテクニックが営業に役立つのかを見ていきましょう。

返報性の原理 

「返報性の原理」とは、他者から何か良いことをしてもらった時、その相手に対して恩を返そうとする心理的傾向のことを指します。この原理は、社会や人間関係において基本的な要素であり、相手に何かを与えられたと感じると、人は自然と「返さなければ」と思うものです。

営業をスムーズに開始する

この原理を営業に応用することで、営業をスムーズに開始し、成約に繋がりやすくすることができます。

価値ある情報の提供

営業活動の最初に、見込み客に対して役立つ情報やアドバイスを無料で提供することで、相手は「恩を受けた」と感じます。

例えば、市場動向のデータや競合情報、自社製品の使用例など、すぐに使える価値ある情報を提供することで、相手はあなたに対して好意的な感情を抱きやすくなります。

サンプルやデモの提供

無料サンプルやデモを提供することで、相手に対する信頼関係を築きやすくなります。

特にBtoB営業では、見込み客に製品やサービスを試してもらうことで、自社のメリットを実感させつつ、返報性の原理を引き出すことが可能です。相手は、無料で価値を得たことで「次は購入を考えよう」という気持ちになる可能性が高まります。

ミラーリング効果

「ミラーリング効果」とは、相手の行動や言葉、態度を模倣することで、相手に親近感や信頼感を抱かせるテクニックです。

信頼関係を構築する

人は、自分と似た行動や話し方をする相手に対して好意を持ちやすくなり、「この人は自分と波長が合う、自分を理解している」と無意識に感じます。この効果は、信頼関係の構築に非常に有効であり、営業の場面でも活用することができます。

相手の話し方やペースに合わせる

ミラーリング効果を活かすためには、まず相手の話すスピードやトーンに注目します。もし相手がゆっくりと話す場合、自分も少しペースを落とし、穏やかなトーンで話すことで、相手は「この人は自分に合っている」と感じやすくなります。逆に、相手がエネルギッシュに話す場合は、それに応じて対応すると良いでしょう。

相手の姿勢やジェスチャーを自然に模倣する

面談や打ち合わせの際、相手の姿勢や体の動きをさりげなく真似することで、信頼感を高めることができます。

例えば、相手が前傾姿勢で熱心に話している場合、自分も少し前に体を傾けることで、共感を示すことができます。また、相手が手を使って話す場合、自分もジェスチャーを取り入れると親近感を与えることができます。ただし、あまり露骨に真似しすぎると不自然に感じられるため、さりげなく行うことがポイントです。

フット・イン・ザ・ドア

「フット・イン・ザ・ドア」とは、小さな要求から始めて、徐々に大きな要求に誘導する心理的テクニックです。

最初に相手が簡単に受け入れられる要求を承諾させることで、その後のより大きな要求も受け入れてもらいやすくなるという現象です。

大きな提案に対する心理的ハードルを低くする

このテクニックは、最初に小さな要望を受け入れさせ、その後により大きな要望を受け入れさせる手法です。BtoB営業では、最初に小さな合意を取り付け、その後に大きな契約を提案する際に有効です。

営業活動でフット・イン・ザ・ドアを活用する具体的なテクニックを3つ紹介します。

簡単なアンケートやヒアリングへの参加依頼を行う

最初に顧客に対して負担の少ない行動(アンケートや簡単なヒアリング)を依頼し、それを受け入れてもらうことで、その後の営業活動において大きな提案を受け入れる心理的準備が整います。

アンケートに答えた顧客は、その後の製品デモや詳細な打ち合わせなど、より大きなアクションにも協力的になる可能性が高まります。

小さな契約や追加オプションの提案

顧客に大規模な契約を迫る前に、小さな契約や安価なサービスオプションを提案します。顧客がその小さな提案を承諾すると、さらに大きな提案を受け入れる心理的抵抗が減少し、最終的に本契約やアップグレードなどの大きなアクションを促進できます。この手法は、特に複数段階で商品やサービスを提供する場合に効果的です。

ドア・イン・ザ・フェイス

「ドア・イン・ザ・フェイス」とは、最初に大きな要求を行い、それが断られた後で、より小さな、現実的な要求をすることで、その小さな要求が受け入れられやすくなる心理的テクニックです。最初の大きな要求はあえて受け入れられないように設定され、次に提示する小さな要求が相手にとって「譲歩された」と感じられるため、受け入れやすくなるのが特徴です。

意思決定に影響を与える

営業の場面でも、このテクニックは有効であり、商談の進行や顧客の意思決定に大きく影響を与えることができます。

オプションを追加で提案する

最初に全てのオプションを含んだパッケージを提示し、相手が「そんなに必要ない」と感じたら、基本的なオプションだけを含んだパッケージを提案します。これにより、相手はより現実的な提案に対して前向きになります。

: 「こちらのサービスにはA、B、Cすべてのオプションが含まれており、合計30万円です。しかし、もし特定の機能だけを求めているのであれば、AとBだけのパッケージで20万円のものもご用意できます。」

長期契約を提示し、断られたら短期契約を提案する

最初に顧客に対して長期契約や大規模な契約を提案し、それが断られた場合に、短期契約や小規模な契約を提示することで、後者が受け入れやすくなります。長期契約を断った顧客は、短期契約が「負担が少ない」と感じ、受け入れる可能性が高まります。

: 「まず1年間の契約はいかがでしょうか?」と提案し、断られた場合に「では、まず3か月の短期契約から始めてみませんか?」と短期の提案を行う。

アンカリング効果

「アンカリング効果」とは、最初に提示された数字や情報が、その後の判断に強く影響を与える心理現象です。

価格交渉の場面では、最初に高めの価格を提示することで、後に提示する割引価格が非常に魅力的に感じられることがあります。

価格交渉や提案時の意思決定を促進する

高めの価格やプランを最初に提示する

アンカリング効果を利用して、最初に高めの価格やプランを提示することで、その後に提示するプランや価格が相対的に安く、またお得に感じられるようになります。これにより、顧客は「少し割高だ」と感じるものを最初に提示され、その後に中間または安価な選択肢を提案されると、その選択肢をより魅力的に感じることがあります。

大きな割引を強調して価値を見せる

商品やサービスの通常価格を強調してから、大幅な割引を提示することで、顧客に「大きな価値を得た」と感じさせることができます。最初に高い価格をアンカーとして設定し、そこからの割引を見せることで、割引後の価格が相対的に魅力的に見えるようになります。

: 「通常価格は〇〇円ですが、今なら30%オフの〇〇円です!」と通常価格をアンカーにして割引を提示する。

バンドワゴン効果

「バンドワゴン効果」とは、「多くの人が支持しているものは良いものだ」という心理から、自分もその流れに乗ろうとする傾向を指します。人は他者の選択を基準にして自分の意思決定を行うことが多く、特に不確実な状況では他人の行動を参考にする傾向が強まります。

BtoB営業において、他の顧客が同じ製品やサービスを利用していることを強調することで、顧客に安心感を与え、提案内容の信頼性を高めることができます。

提案内容を強化して購入や契約を促進する

営業の場面では、このバンドワゴン効果を活用して、顧客に「他の人も使っているから安心」「多くの人が選んでいる」という安心感や信頼感を与えることで、購入や契約を促進することができます。

顧客の声や成功事例を共有する

多くの顧客が商品やサービスを利用して成功していることをアピールすることで、新しい顧客に対して「他の人も利用しているなら安心だ」という印象を与えられます。特に、業界のリーダーや有名な企業が使っていることを示すと、より大きな信頼感を得られます。

: 「すでに〇〇社を含む100社以上がこのサービスを導入しています」や「この製品で多くの企業が売上を2倍に伸ばしました」といった実績を紹介。

人気ランキングやベストセラーの表示

ウェブサイトやパンフレットで「ベストセラー」や「ランキング1位」などの表示をすることで、多くの人が選んでいる商品やサービスをアピールできます。顧客は、他の多くの人が購入しているものは信頼できると感じ、安心して選ぶ傾向があります。

: 「こちらのプランは今年最も人気があります」「今月のベストセラー商品」としてトップ商品を強調し、他人の選択を参考にさせる。

両面提示

「両面提示」とは、商品やサービスを説明する際に、そのメリットだけでなく、デメリットや欠点も正直に提示する方法です。

信頼を得て商談を進める

メリットだけでなくデメリットも提示することで顧客に対して誠実さや信頼性を示し、より信頼されることを目指します。

両面提示を行うことで、顧客が「この営業担当者は正直だ」と感じ、信頼感が高まりメリットが際立って見える効果も得られます。

営業においては、両面提示をうまく活用することで、顧客に信頼を持たせ、納得感を与えながら、より効果的な商談を進めることが可能です。

製品の短所と長所を同時に伝える

製品やサービスの短所をあえて伝えた後、その短所を補う長所を強調することで、顧客に信頼感を与えます。短所を隠さずに誠実に伝えることで、逆にその長所が説得力を持ち、メリットがより強調される結果になります。

: 「この製品は初期投資が少し高めですが、長期的には維持費が低く、結果的にコストパフォーマンスが非常に良いです。」といった説明で、短所を補う強みを示す。

競合製品との比較で弱みも認める

競合製品との比較で、自社の製品が劣る部分を率直に認め、その上で他の部分で優れている点を強調することも、両面提示の効果的な使い方です。競合の強みを認めることで、自社製品の信頼性が増し、優れた部分がより強調されます。

: 「確かにA社の製品は機能が豊富ですが、当社の製品は操作がシンプルで、使いやすさに優れています。」と伝え、顧客のニーズに沿った優位性を強調する。

ウィンザー効果

「ウィンザー効果」とは、直接的な当事者からのメッセージよりも、第三者(顧客や専門家、レビューサイトなど)からの言葉が、より説得力を持つという心理的な効果です。

人は、利害関係のない第三者が発信する情報や口コミをより信じる傾向にあり、商品やサービスの評価を他人から聞くことで、その信頼性が高まると感じます。この効果を活用することで、営業において顧客の信頼を獲得しやすくなります。

製品やサービスの信頼性を高める

レビューや評価を提示

オンラインの口コミやレビューサイトで高い評価を受けていることをアピールするのも効果的です。

消費者は、自分と同じ立場の他人の意見を信頼しやすいため、第三者からの高評価は購買決定を後押しする大きな要素となります。

インフルエンサーや業界専門家の推薦を活用

業界で信頼されているインフルエンサーや専門家からの推薦を利用することで、商品やサービスの信頼性をさらに高めることができます。

インフルエンサーや専門家からの意見により、専門的な知見に基づく信頼性が付加され、見込み客の購買意欲を引き出せます。特に、顧客がその専門家を信頼している場合、その効果はさらに高まります。

フレーミング効果

「フレーミング効果」は、同じ情報でも伝え方や表現の仕方によって人々の意思決定や判断が異なるという心理的現象です。

特に、情報が「ポジティブに」または「ネガティブに」提示されるかによって、相手の反応が変わります。たとえば、「成功率90%」と「失敗率10%」は同じ意味ですが、前者はポジティブに、後者はネガティブに感じられるため、受け手の印象が異なります。

顧客の関心を引き、購買意欲を高める

ポジティブフレームの活用

商品やサービスの利点を強調し、ポジティブな結果に焦点を当てる方法です。たとえば、「このプランを選ぶと、年間で10%のコスト削減が期待できます」と提示することで、顧客にメリットを強く印象づけることができます。ネガティブな面を避けて、利益や成果に集中することで、購買意欲を高めることができます。

損失回避フレーム

人間は利益を得ることよりも、損失を避けることに強い感情的反応を示す傾向があります。この心理を利用し、「この機会を逃すと、年間で10%のコストを無駄にするかもしれません」という形で提示することで、顧客の行動を促すことができます。損失を強調することで、顧客は行動を起こす動機が強まります。

ピーク・エンドの法則

「ピーク・エンドの法則」とは、人々が過去の出来事や経験を記憶する際、その出来事全体ではなく「最も強烈だった瞬間(ピーク)」と「最後の瞬間(エンド)」に基づいて評価する傾向があることを指します。

つまり、人々は経験の全体を平均的に評価するのではなく、印象的な瞬間や最後に起きた出来事によって、その経験全体の感情的な印象が決まるということです。

営業においては、このピーク・エンドの法則を意識したアプローチを行うことで、顧客にポジティブな印象を残し、契約成立やリピート購入を促すことができます。

顧客にポジティブな印象を残し、契約成立やリピート購入を促す

顧客とのピーク体験を作り出す

営業プロセスの中で、顧客にとって「ピーク」となるポジティブな瞬間を意図的に作り出すことが重要です。

例えば、製品やサービスのデモンストレーションを行う際に、顧客に「これは本当に役立つ!」と感じさせるような機能やメリットを強調して見せることで、感動的な瞬間を提供します。このピークの瞬間が、営業プロセス全体の評価を高める要因となります。

最後に良い印象を残すコミュニケーション

商談や提案の最後に、特に好印象を残すことを意識することが大切です。

例えば、契約の最後に「お客様にとってこれが最適な選択であると確信しています」といった安心感を与えるメッセージを送ったり、最後に小さな感謝のギフトや手書きのメッセージを添えることで、顧客にポジティブなエンディングを提供します。この「最後の印象」が顧客の心に残り、購買意欲やリピート率を高める効果があります。

まとめ

場当たり的な営業活動ではなく、心理学的テクニックをきちんと理解し実践することは、顧客の心をよりつかみ、成約率を高めることができます。

顧客の心理を理解し、その行動を予測しながら、的確なアプローチを取ることで、BtoB営業の成功に繋げることができるでしょう。

心理学を駆使した営業テクニックは、単なる理論ではなく、日常の営業活動において実践的に活用できる強力なツールです。是非、これらのテクニックを実際の営業に取り入れ、顧客との信頼関係を築きながら、成約率の向上を目指しましょう。

また、心理学テクニックはマーケティングコンテンツを検討する際にも役にたつ情報です。ターゲットとするDMU(意思決定者グループ)に対して、心理学テクニックを活用した有用なコンテンツを提供することで、マーケティングプロセスをより促進し、リード獲得の向上にもつながります。