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ABMはもう古い?海外で注目されるBGM(Buying Group Marketing)とは?

作成者: アクセサイト編集担当|2024.12.13

BtoBマーケティングの世界では、これまでの常識が次々と更新されています。

特に近年注目を集めているのが、ABM(Account-Based Marketing)に代わる新しいアプローチとして注目される「BGM(Buying Group Marketing)」です。

この記事では、BGMの概要や背景、ABMとの違い、導入のメリットなどについて詳しく解説します。

BGM(Buying Group Marketing)とは?

「BGM(Buying Group Marketing)」とは、BtoBマーケティングの新たなアプローチであり、企業内の複数の意思決定者やステークホルダー(利害関係者)が協力して製品やサービスを評価・選定するプロセスに焦点を当てた手法です。

検討期間が長く意思決定者が多数関与するBtoBの購買プロセスは、購入担当者のみならず、製品やサービス購入の意思決定には複数のDMU(Decision Making Unit)が存在するため、このアプローチでは、従来のリードベースのマーケティングや、企業単位でアプローチを行うABM(アカウントベースドマーケティング)とは異なり、購入担当者だけではなく購買グループ全体をターゲットにすることで、より効果的な意思決定を促進します。

Buying Group(購買グループ)とは?

「Buying Group(購買グループ)」とは、BtoBの購買プロセスにおいて、製品やサービスの購入決定に関与する複数の担当者で構成されたグループを指します。

従来のBtoBマーケティングでは、企業全体をターゲットとすることが一般的でしたが、実際には購買決定には以下のような複数の役割を持つ担当者が関与しています。

Buying Groupの主要な役割

Buying Groupは、様々な役割を持つメンバーから構成されており、それぞれが異なる視点とニーズを持っています。

  • チャンピオン(Champion)
    チャンピオンは、特定の製品やサービスを強く支持し、その価値を他のメンバーに伝える役割を担います。この役割は社内での影響力が強く、購買プロセスを推進する重要な存在です。
  • 意思決定者(Decision Maker)
    意思決定者は、最終的な購入決定を下す権限を持つメンバーです。この役割には、経営層や部門長などが含まれることが多く、彼らの承認がなければ購入は進みません。
  • インフルエンサー(Influencer)
    インフルエンサーは、購買プロセスにおいて他のメンバーに影響を与える役割を持ちます。この役割には部門内の専門家やアドバイザーなどが含まれ、専門知識を持ち製品やサービスの選定において重要な意見を提供します。
  • ユーザー(User)
    ユーザーは、実際に製品やサービスを使用するメンバーです。彼らのフィードバックは非常に重要であり、製品選定において大きな影響を与えることがあります。
  • ゲートキーパー(Gatekeepers)
    ゲートキーパーは、情報収集や候補リストの作成を行う役割を担います。市場の動向や競合製品の情報を集め、企業のニーズに適した製品やサービスを選定するために必要なデータを提供します。

BtoBの購買プロセスはこのような複数の役割を持つメンバーが製品やサービスの意思決定に関与するため、購買グループ全体を意識する必要があります。

BGMの特徴

BGMの特徴はBtoBマーケティングにおいて、企業の購買決定に関与する複数の担当者を対象とする点にあります。

BGMの主な特徴を以下にまとめました。

  • 複数のステークホルダーへのアプローチ
    BGMでは、個々の担当者だけでなく、グループ全体への戦略的アプローチが可能となります。各メンバーの役割やニーズを深く理解し、それに基づいたパーソナライズされたコンテンツや施策を提供することで、購買グループ全体の関与度を高め、より効果的な意思決定を促進します。
  • エンゲージメントの向上
    購買グループ全体との接点を持つことで、エンゲージメントが高まり、成約率や顧客定着率の向上が期待できます。
    特定の担当者が異動した場合でも、他のメンバーとの関係が残るため、企業は長期的な関係を維持しやすくなり、ビジネスの安定性が向上します。
    また、購買グループ全体のニーズを継続的に把握し、適切なタイミングでのフォローアップを行うことで、顧客満足度を高め、競争優位性を確立することが可能となります。

BGMとABMの違い

BGM(Buying Group Marketing)とABM(アカウントベースドマーケティング)は、どちらもBtoBマーケティングにおけるアプローチですが、対象や特徴が異なります。

ターゲットの範囲

  • ABM
    ABMは特定のアカウント(企業)をターゲットにします。
  • BGM
    BGMは、特定のアカウント(企業)内の購買プロセスに関与する複数の担当者を「購買グループ」として捉えターゲットにします。

アプローチの方法

  • ABM
    ABMのアプローチは企業ベースで行います。ターゲット企業ごとに異なるニーズや課題を理解し、それに基づいて個別のコンテンツや施策を提供します。
  • BGM
    BGMは、購買グループ全体へアプローチを行います。前述の通り、各メンバーが異なる役割や視点を持っているため、それぞれのニーズを把握しコンテンツや施策を提供します。

成果の指標

  • ABM
    ABMでは主に企業単位での成約率などを測定します。このため、特定の企業への影響度合いが重視されます。
  • BGM
    BGMでは、購買グループ全体から得られるフィードバックやエンゲージメントデータが重要視されます。

BGMが注目される背景

BGMが注目を集める理由として、以下の3つの背景が挙げられます。

複雑化する購買プロセス

Gartnerによると(出典:Why Multithreaded Engagements Are the Secret to Accelerating Revenue Growth)、BtoBにおける購買の平均意思決定者数は11人で、より複雑な意思決定を行う場合、その数は20人になることもあるとされています。

このことからもわかるように、BtoBの購買プロセスは複雑化しており、従来の個別アプローチではこの複雑性に対応できないため、購買グループ全体を視野に入れたアプローチが求められています。

顧客自らの情報収集

アメリカのコーポレート・エグゼクティブ・ボード社が発表した『The Digital Evolution in B2B Marketing』によると、BtoBにおいては顧客の購買プロセスの57%が営業担当者に会う前にすでに終わっているとされています。

顧客は自ら情報を収集し、意思決定を行う傾向が強まっており、マーケティング部門は顧客ニーズに基づいたパーソナライズされたアプローチを求められるようになりました。

BGMはこのニーズに応える形で、購買グループ全体へのアプローチを強化します。

BGMを導入するメリット

BGMを導入することで、以下のようなメリットが得られます。

精度の高いパーソナライズ

BGMでは、購買グループ全体をターゲットにするため、各メンバーの役割やニーズに基づいたパーソナライズが可能です。個々の担当者だけでなく、グループ内の他の関係者にも適切な情報を提供できるため、より効果的なマーケティング施策が実現します。

例えば、技術的な詳細を重視するメンバーには、製品の技術仕様や導入事例を詳しく説明する資料を提供し、経営層のメンバーには、投資対効果やビジネスへの影響を強調した資料を用意することが考えられます。

エンゲージメントと成約率の向上

購買グループには、さまざまな役割を持つ複数の関係者が存在します。それぞれに対して一貫したメッセージを届けることで、信頼感が高まり、エンゲージメントの向上が期待できます。

エンゲージメントが向上することで、購買グループ全体の意思決定プロセスがスムーズになり、結果として成約率が向上する可能性が高まります。また、顧客満足度も向上し、長期的なビジネス関係の構築が促進されるため、企業にとって大きなメリットとなります。

マーケティングと営業の連携強化

マーケティングと営業において共通のデータやターゲットに基づくアプローチが可能になることで、部門間で協力して購買グループに対する効果的かつ戦略的にアプローチすることが可能となり、顧客に対して一貫した顧客体験(CX)を提供しやすくなります。

これは、マーケティングと営業が一体となって動くことで、顧客の購買グループに対するメッセージが一貫し、信頼性が高まるため、長期的な関係構築が期待できます。

まとめ

BGM(Buying Group Marketing)は、複雑化するBtoB購買プロセスに対応する新しいアプローチとして注目されています。

購買担当者のみならず、購買グループ全体をターゲットとすることで、より効率的かつ効果的なマーケティング戦略の実現が可能です。

デジタル化とデータ活用が進む中、BGMを導入することで競争優位を確立しましょう。