BtoBマーケティングの世界では、これまでの常識が次々と更新されています。
特に近年注目を集めているのが、ABM(Account-Based Marketing)に代わる新しいアプローチとして注目される「BGM(Buying Group Marketing)」です。
この記事では、BGMの概要や背景、ABMとの違い、導入のメリットなどについて詳しく解説します。
「BGM(Buying Group Marketing)」とは、BtoBマーケティングの新たなアプローチであり、企業内の複数の意思決定者やステークホルダー(利害関係者)が協力して製品やサービスを評価・選定するプロセスに焦点を当てた手法です。
検討期間が長く意思決定者が多数関与するBtoBの購買プロセスは、購入担当者のみならず、製品やサービス購入の意思決定には複数のDMU(Decision Making Unit)が存在するため、このアプローチでは、従来のリードベースのマーケティングや、企業単位でアプローチを行うABM(アカウントベースドマーケティング)とは異なり、購入担当者だけではなく購買グループ全体をターゲットにすることで、より効果的な意思決定を促進します。
「Buying Group(購買グループ)」とは、BtoBの購買プロセスにおいて、製品やサービスの購入決定に関与する複数の担当者で構成されたグループを指します。
従来のBtoBマーケティングでは、企業全体をターゲットとすることが一般的でしたが、実際には購買決定には以下のような複数の役割を持つ担当者が関与しています。
Buying Groupは、様々な役割を持つメンバーから構成されており、それぞれが異なる視点とニーズを持っています。
BtoBの購買プロセスはこのような複数の役割を持つメンバーが製品やサービスの意思決定に関与するため、購買グループ全体を意識する必要があります。
BGMの特徴はBtoBマーケティングにおいて、企業の購買決定に関与する複数の担当者を対象とする点にあります。
BGMの主な特徴を以下にまとめました。
BGM(Buying Group Marketing)とABM(アカウントベースドマーケティング)は、どちらもBtoBマーケティングにおけるアプローチですが、対象や特徴が異なります。
BGMが注目を集める理由として、以下の3つの背景が挙げられます。
Gartnerによると(出典:Why Multithreaded Engagements Are the Secret to Accelerating Revenue Growth)、BtoBにおける購買の平均意思決定者数は11人で、より複雑な意思決定を行う場合、その数は20人になることもあるとされています。
このことからもわかるように、BtoBの購買プロセスは複雑化しており、従来の個別アプローチではこの複雑性に対応できないため、購買グループ全体を視野に入れたアプローチが求められています。
アメリカのコーポレート・エグゼクティブ・ボード社が発表した『The Digital Evolution in B2B Marketing』によると、BtoBにおいては顧客の購買プロセスの57%が営業担当者に会う前にすでに終わっているとされています。
顧客は自ら情報を収集し、意思決定を行う傾向が強まっており、マーケティング部門は顧客ニーズに基づいたパーソナライズされたアプローチを求められるようになりました。
BGMはこのニーズに応える形で、購買グループ全体へのアプローチを強化します。
BGMを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
BGMでは、購買グループ全体をターゲットにするため、各メンバーの役割やニーズに基づいたパーソナライズが可能です。個々の担当者だけでなく、グループ内の他の関係者にも適切な情報を提供できるため、より効果的なマーケティング施策が実現します。
例えば、技術的な詳細を重視するメンバーには、製品の技術仕様や導入事例を詳しく説明する資料を提供し、経営層のメンバーには、投資対効果やビジネスへの影響を強調した資料を用意することが考えられます。
購買グループには、さまざまな役割を持つ複数の関係者が存在します。それぞれに対して一貫したメッセージを届けることで、信頼感が高まり、エンゲージメントの向上が期待できます。
エンゲージメントが向上することで、購買グループ全体の意思決定プロセスがスムーズになり、結果として成約率が向上する可能性が高まります。また、顧客満足度も向上し、長期的なビジネス関係の構築が促進されるため、企業にとって大きなメリットとなります。
マーケティングと営業において共通のデータやターゲットに基づくアプローチが可能になることで、部門間で協力して購買グループに対する効果的かつ戦略的にアプローチすることが可能となり、顧客に対して一貫した顧客体験(CX)を提供しやすくなります。
これは、マーケティングと営業が一体となって動くことで、顧客の購買グループに対するメッセージが一貫し、信頼性が高まるため、長期的な関係構築が期待できます。
BGM(Buying Group Marketing)は、複雑化するBtoB購買プロセスに対応する新しいアプローチとして注目されています。
購買担当者のみならず、購買グループ全体をターゲットとすることで、より効率的かつ効果的なマーケティング戦略の実現が可能です。
デジタル化とデータ活用が進む中、BGMを導入することで競争優位を確立しましょう。