昨今のBtoBマーケティングでは、ABM(Account Based Marketing)の取り組みが再注目されていますが、ABM戦略の中で欠かせない「インテントマーケティング」とは何でしょうか?
※ABMについては、こちらの記事を参照ください。
【ABMとは?】メリットや導入手順、便利なツールについて詳しく解説!
「インテントマーケティング(Intent Marketing)」とは、「顧客の意図やニーズに最も焦点を当て、パーソナライズされたマーケティングコミュニケーションを実施するマーケティング手法」です。
このアプローチでは、どの企業や顧客が「今何を求めているのか?」、「どのような意図を持っているか?」を様々な角度のデータを用いて事前に把握した上で、その企業や顧客の意図に沿った製品やサービスのみにパーソナライズした形で訴求を行います。
すなわち、これまでの自社の製品やサービスに関連する検索キーワードを主軸とした検索型のオンライン広告や、オーディエンスターゲットを絞った形で広告を配信するSNS広告などとは大きく異なり、あらかじめこの企業や顧客はこういったニーズや課題があるということを把握した上で、その解決策となる製品やサービスをピンポイントで訴求していく手法となります。
本記事では、そもそも「インテント」や「インテンドデータ」とは何か?、今後インテントマーケティングを実施する上で、考慮すべき点やメリットについて解説します。
目次
そもそもインテント(Intent)とは何か?
「インテント(Intent)」とは、人の行動や発言の「背後にある意図や目的」を指します。特に、情報の検索やコミュニケーションの文脈で使用されることがよくあります。
以下はいくつかのインテントの具体的な例です。
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検索エンジンでの検索クエリのインテント:
- ユーザーが検索エンジンに入力するクエリにはさまざまなインテントが存在しています。例えば、あるユーザーの「美容室 東京 おすすめ」というクエリのインテントは、おそらく「東京でおすすめの美容室を探している」と解釈されます。
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会話の中の言葉の意図:
- 人間の会話コミュニケーションでも、発言の背後には特定の意図があります。例えば、「今何してるの?」という質問のインテントは、相手側の現在の活動や状態を知りたいということです。相手側の現在の仕事のことを尋ねているのか?単に今、暇していないか?を尋ねているのかは、前後の文脈によりさらに深く「背後の意図」を知ることができるでしょう。
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広告やマーケティングキャンペーンの目的:
- マーケティングの文脈では、広告やキャンペーンのデザインやメッセージは、顧客の購買や行動を促進する特定のインテントを持っています。例えば、商品の認知を高める、特定の製品を購入させる、サービスに登録させるなどが考えられます。
このように、インテントは行動やコミュニケーションの裏に潜む意図や目的を表し、インテントを理解することは「情報提供や対話の最適化」などにおいて極めて重要な要素となります。
インテントマーケティングを実施する上で欠かせない「インテントデータ」とは?
インテントデータ(Intent Data)は、企業や顧客がオンライン上で行動する際に発生するデータで、その行動が製品やサービスに対する関心や購買意向を示すものです。
これは通常、検索エンジンでの検索クエリ、ウェブサイトの訪問ページ、コンテンツの閲覧履歴などを含みます。インテントデータは、マーケティングやセールスのプロフェッショナルが潜在的な顧客のインテントを理解し、それに基づいて適切なアクションを取るために使用されます。
インテントデータの具体的な例としては以下が挙げられます:
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検索クエリの解析データ:
- ユーザーが検索エンジンで行うクエリやキーワードは、そのユーザーの関心や意図を示すものとなります。これらのデータを解析することで、特定のトピックや製品に対するインテントが明らかになります。
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ウェブサイトの行動解析データ:
- ウェブサイト上での訪問履歴やコンテンツの閲覧履歴は、顧客がどの領域に関心を抱いているかを示す重要なインテントデータとなります。特定のページの訪問や特定のコンテンツのダウンロードが、製品やサービスに対する興味を示すことがあります。
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ソーシャルメディアの活動データ:
- ソーシャルメディア上での投稿や共有、特定のトピックへのコメントなども、顧客のインテントを示すデータとなります。ソーシャルメディアモニタリングを通じて、顧客の声や反応を把握することができます。
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リードスコアリングデータ:
- インテントデータは、MAツールなどで用いられる「リードスコアリング」の一部として使用されることがあります。顧客の行動に基づいて、彼らの興味や購買意向を評価し、アプローチすべき企業や顧客の優先順位付けを行います。
このような「インテントデータ」をマーケティング活動に有効活用することで、潜在的な企業や顧客の行動パターンを把握し、それに基づいて「パーソナライズされたマーケティングコミュニケーションやセールスアプローチ」を実行することが可能となります。
インテントマーケティングで求められる機能とは?
それでは、インテントマーケティングを実行する上で欠かせない機能要素としてはどのようなものがあるでしょうか?
ここでは、最も重要な3つの機能について解説します。
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データ収集と解析:
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インテントマーケティングでは、膨大なオンライン上の行動データや検索履歴などから得られる情報を収集・分析し、企業や顧客の課題やニーズを把握します。データの精度が高ければ高いほど、企業や顧客のインテント(ビジネス背景や意図)を深く理解することが可能です。
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データの発生元は自社サイトやコンテンツから得られる「ファーストパーティーデータ」と、外部のサイトやコンテンツから得られる「サードパーティーデータ」の二つがあり、昨今ではインテントデータとは「サードパーティーデータ」のことを指すことが多くなってきました。
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パーソナライゼーション機能
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企業や顧客が持つ固有の課題やニーズに合わせて、その解決策となる製品やサービスの訴求を個別に情報提供することが重要です。企業や顧客のインテントに基づいてターゲット企業や顧客をリスト化し、パーソナライズされた広告コンテンツや提案を実施します。
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リアルタイム対応機能:
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インテントマーケティングでは、企業や顧客の行動や検索にリアルタイムで対応することも求められます。企業や顧客により表示するページやコンテンツを出し分ける、ポップアップバナーを出し分けるなど、迅速で適切な対応が、企業や顧客の”今”の期待に応えるために重要です。
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このような機能を使ったアプローチ施策により、企業や顧客との関係をより深化させ、より効果的なマーケティングコミュニケーションを構築することが可能です。インテントマーケティングは、顧客中心型のアプローチを更に強調し、個々の顧客に合った付加価値提案を行うことを目指しています。
インテントマーケティングのメリットとは?
インテントマーケティングにはさまざまなメリットがあります。
以下は、インテントマーケティングの主なメリットです:
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精度の高いターゲティングで広告費を削減
- インテントマーケティングは、企業や顧客の日々の行動や検索履歴に基づいてターゲティングを行います。これにより、広告やコンテンツを関心のあるユーザーのみに効果的に広告配信ができ、無駄な広告費を削減するとともに、より具体的な訴求イメージを受け手側にアプローチすることが可能です。
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リアルタイムな対応で”今”を逃さない
- インテントマーケティングはリアルタイムでのデータ分析を活用しています。これにより、ユーザーの行動が発生した瞬間に対応できます。迅速な対応は、カスタマーエクスペリエンスの向上や購買意欲の獲得に、より貢献します。
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パーソナライズされたコミュニケーションでエンゲージメントが高まる
- インテントマーケティングは、企業や顧客の固有のインテントに基づいてパーソナライズされたコンテンツや提案を行います。これにより、顧客はより関心を持ちやすくなり、マーケティングメッセージがより効果的に伝わることで、エンゲージメント(顧客との距離)を素早く高めることができます。
- 効率的なリードジェネレーションで営業側の満足度が上がる
- インテントデータを活用することで、潜在的な購買者の興味やニーズに直接アプローチできるため、より質の高いリードを獲得することができます。そのため、営業チームへリードを渡しやすく、営業側の満足度も得られます。
- マーケティング活動の競争優位性の獲得
- インテントマーケティングを採用することで、競合他社よりも早くターゲット企業や顧客のインテントを理解し、適切な対策を講じることができるため、顧客満足度もあがり、マーケティング活動の競争優位性を確立できます。
このようなメリットにより、インテントマーケティングは企業にとって競合他社よりも競争力を高め、効果的なマーケティング戦略を展開する手段となっています。
インテントセールスとの違いは?
インテントマーケティング(Intent Marketing)とインテントセールス(Intent Sales)は、共に顧客の意図やニーズに焦点を当てるアプローチですが、それぞれ異なる側面に焦点を当てています。
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インテントマーケティング(Intent Marketing):
- 焦点: 主に「マーケティング活動」に焦点を当てています。
- アクティビティ: 顧客のオンライン行動データや検索履歴などを分析し、顧客の興味やニーズを理解します。その情報を元に、パーソナライズされたコンテンツや広告訴求を行います。
- 目的: マーケティングコミュニケーションを通じて、顧客との関係を深化させ、製品やサービスに対する興味や関心を引き出し、購買意欲を高めることが主な目的です。
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インテントセールス(Intent Sales):
- 焦点: 主に「営業活動」に焦点を当てています。
- アクティビティ: 顧客のインテントや関心に基づいて、営業担当者が個別の対話を通じて顧客にアプローチします。これは、通常はリードジェネレーションやセールスアプローチの段階で行われます。
- 目的: 個別の顧客に対して、製品やサービスの適切な提案や解決策を提供し、購買プロセスを促進することが主な目的です。
すなわち、インテントマーケティングは広範囲で大量の顧客に対して、オンライン上でのマーケティングコミュニケーションを通じて顧客のインテントを理解し、興味や関心を引き出すことを目指す一方、インテントセールスは特定の顧客に対して、個別の対話や提案を通じて購買プロセスを進めることに焦点を当てています。
インテントマーケーティングに有用なツールは?
インテントマーケティングを支援するために、さまざまなツールが開発されています。これらのツールは、オンライン上での顧客の行動データを分析し、そのインテントに基づいてマーケティング戦略を実行するのに役立ちます。以下は、一般的なインテントマーケティングツールの例です:
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Google Analytics/Search Console:
- ウェブサイトのトラフィックやユーザー行動、検索履歴に関するデータを収集し、分析することで、自社に訪れるユーザーのインテントを理解するのに役立ちます。
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SEMrush:
- 検索エンジン上でのキーワードの検索ボリュームや競合分析などを提供し、SEO戦略を立てる際にインテントを考慮するのに役立ちます。
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Ahrefs:
- バックリンクやキーワードの分析を通じて、競合状況を理解し、検索エンジンでの表示順位向上を目指します。
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HubSpot:
- インバウンドマーケティングを支援するプラットフォームで、顧客の行動に基づいてパーソナライズされたコンテンツやメールを提供する機能があります。
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Crazy Egg:
- ウェブサイト上のヒートマップやユーザー行動の分析を通じて、どの部分がユーザーの関心を引いているかを把握し、サイトの最適化に役立ちます。
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IntentData.io:
- B2Bマーケティング向けに、企業のウェブサイト上での行動データや信号を収集し、潜在的なリードのインテントを特定するツールです。
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BrightEdge:
- 検索エンジン最適化(SEO)やコンテンツマーケティングの分野で利用され、顧客の検索クエリに基づいてコンテンツ戦略を構築するのに役立ちます。
これらのツールは、顧客のインテントを把握し、それに基づいてマーケティング戦略を最適化するための手段として広く使用されています。ただし、特定の業界やニーズに合わせて最適なツールを選定することが重要です。
まとめ
いかがでしょうか?これまでのCRMデータを主軸としたCMSやMAを用いたマーケティング戦略は、テクノロジーやAIの進化により、高度なABM領域との連携が求められています。
アクセサイトでは、CRM/CMS/MS/SFA領域に加えて、ABM領域のサポートも可能です。ABM領域でお悩み事がございましたら、お気軽にこちらよりご連絡をお待ちしております。