ABM実践で顧客エンゲージメント最大化へ

顧客エンゲージメントの向上は、BtoB企業にとって重要な課題のひとつです。この記事では、ABM(アカウントベースドマーケティング)の実践で顧客エンゲージメントを最大化する方法を解説します。

ABMが顧客エンゲージメント向上に繋がる理由から、戦略構築のポイント、主要なABMツールを解説します。この記事で紹介する方法を活用し、ABMによる顧客エンゲージメントの最大化を実現しましょう。

ABMと顧客エンゲージメントの重要性

「ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)」は、特定のターゲット企業に対して最適化されたマーケティング活動を展開する手法であり、「顧客エンゲージメント」の強化がその主要な目的です。顧客エンゲージメントとは、企業と顧客との間の信頼関係のことです。

顧客エンゲージメントが向上すると、以下のような効果が期待できます。

  • 売上の増加
  • リピート率の向上
  • 良質な口コミや評判の拡散
  • ブランドイメージの強化
  • 競合他社との差別化

ABMを活用することで、これらの要素を最適化し、顧客エンゲージメントを高めることが可能になります。2015年に米国のDemandbaseが行った調査で、すでに83%のBtoBマーケターがABMはターゲットアカウントのエンゲージメントを高めるために有効であり、ABMの一番のメリットだと回答しています。

ABMとは?についてさらに詳しく解説した記事はこちら

BtoB企業におけるABMの役割と価値

BtoB企業において、ABMはビジネス拡大の鍵となる戦略といえます。その理由は以下が挙げられます。

  • 特定のターゲット企業に対して個別化されたアプローチが可能になる
  • マーケティングと営業チームの連携をより促進する
  • 商談クローズ率の向上
  • 収益性の高い顧客の獲得につながる
  • 顧客との強固な関係構築ができる

特に、重要なアカウントに対する資源を最適化し、顧客ニーズを最も適切に満たすためのサービス提供やコンテンツ作成が実現できる点が、ABMがBtoB企業に対して価値をもたらす要因といえます。

なぜABMが顧客エンゲージメント向上に繋がるのか

ABMが顧客エンゲージメント向上に繋がる理由は、以下の通りです。

  1. ターゲット企業に合わせたパーソナライズされたコンテンツやアプローチを提供することにより、顧客の真の課題やニーズに対応する事が可能となる。
  2. 顧客の意思決定プロセスに沿った最適なタイミングでの情報提供やアプローチが実現し、エンゲージメントをより効果的に行うことができる。
  3. マーケティングと営業部門の連携を強化し、顧客に対する一貫したメッセージやアプローチが可能となる。
  4. 蓄積された顧客データを活用して、効果的なリード獲得やアカウント分析が実施できる。

これらの要素が組み合わさることで、顧客エンゲージメントの向上が実現し、B2B企業の市場における競争力を高めることが可能となります。

実践に向けたABM戦略構築

business-people-meeting

実践に向けてABM戦略を構築する際には、以下のステップを踏むことが効果的です。

  1. ターゲットアカウントの特定とニーズや課題の把握
  2. パーソナライズされたコンテンツやメッセージを作成し、最適なチャネルやタイミングでアプローチする
  3. 効果測定と戦略の最適化

これらを踏まえながら、ビジネスに適したABM戦略を構築し、顧客エンゲージメントの向上を実現することが求められます。

1. 成果を引き出すターゲットアカウントの特定

ターゲットアカウント(企業)の特定は、ABM戦略の成功において非常に重要です。

特定する方法の一つとして、まず既存顧客の中から売上の上位を占める企業を業界、企業規模、地域といった観点から分析します。

分析した結果を踏まえて、同じようなセグメントでまだ顧客になっていない企業を見つけ出します。さらに、各企業における関係者をリストアップし、彼らのニーズや課題を理解することでより効果的なアプローチを検討することが可能となります。

こうした分析においては、営業チームとの連携が不可欠です。どのような企業が既存顧客として売上に貢献しているのか、顧客データを整理・分析することが必要となります。

また、市場調査や競合分析を行い、自社の強みや弱みを把握することも、ターゲットアカウント特定に役立ちます。

2. ABMに適したマーケティング活動とコンテンツの開発

ターゲットアカウントを特定した後は、ターゲットに適したマーケティング活動とコンテンツ開発を行います。

  • ターゲットアカウントのニーズや課題に対応したカスタマイズされたコンテンツを作成する(自動車業界であれば、自動車業界に特化したサービスや事例ページなど)
  • パーソナライズされたメッセージを伝えるために、デジタル広告やEメールマーケティング、顧客リストに応じたページコンテンツの出し分け機能などを活用する
  • 販売促進の手法として、特定のターゲット企業向けのイベントやセミナーを開催する

これらの活動を実施する際にも、営業チームとマーケティングチームが連携して取り組むことが重要となります。

3. 効果測定と戦略の最適化

コンテンツの作成や広告の配信などを行うだけではなく、その効果を定期的に分析することが重要です。

ABM戦略においては、ターゲットは特定の企業です。そのため、効果測定も比較的行いやすいとされています。実施した施作によってそのターゲットがどのようなアクションを起こしたのかを定期的に分析・修正し、一定の期間で効果が出なければ、ターゲット企業を変更することも必要です。

営業とマーケティングチームの連携強化

上記のステップでも説明したように、営業とマーケティングチームの連携強化は、ABM戦略の成功において欠かせません。では、どのようにして連携を強化させていけば良いのでしょうか。その方法として、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 目標やKPIを共有し、それに沿った戦略を策定する
  • 定期的なコミュニケーションを取り、情報や意見を共有する
  • マーケティング活動の成果を営業チームにフィードバックし、営業のサポートを強化する

このような取り組みを通じて、営業とマーケティングの一体感を高め、最適なアプローチでターゲットアカウントを獲得することができます。

営業とマーケティングの連携強化はABMの成功において必要不可欠なものですが、これが課題となり、ABMの導入や実行がうまく進まないことも少なくありません。そのほかにもターゲットアカウントの特定やデータ収集・分析も課題となります。

そこで、適切なツールやリソースの活用が必要となります。

効率的なABM運用を実現するツール

crop-businesswoman-using-laptop

ABMツールを利用することで、ターゲットアカウントの特定やスコアリング、コンテンツのパーソナライズ配信など、効率的な戦略実行が可能となります。また、ABMツールは、営業部門とマーケティング部門の連携を促進し、リード獲得やアカウント管理の効率化に貢献します。

ABMツールを利用することで、特定のアカウントに対応したマーケティング戦略の実現に大きなメリットをもたらします。

効率的なABM運用を実現するツール一覧

効率的なABM運用を実現するツールは数多くあります。ABMツールの主な機能としては以下が挙げられます。

  • リードスコアリング: 顧客の関心やニーズを判断し、リードを最適化する。
  • コンテンツマーケティング: ターゲット企業の課題を解決するためのコンテンツを作成し、エンゲージメントを向上させる。
  • パーソナライズ: 顧客のデータを活用し、個別に最適なアプローチを提供する。
  • データ分析: 顧客の行動や興味を分析し、マーケティング活動の向上につなげる。

これらのツールを活用することで、ABM運用を効率的に実施でき、営業やマーケティングチームが連携し、顧客の獲得に成功する可能性が高まります。

国内で主要なABMツール3選

FORCAS

スクリーンショット 2024-04-01 14.19.43

FORCAS公式サイト

「FORCAS(フォーカス)」は150万社以上のデータベースを保有するB2B事業向け顧客戦略プラットフォームです。企業リストの作成や、名寄せ機能、リサーチ機能、顧客分析機能によってABMの実践や営業効率の向上を測ることができます。
SalesforceやHubSpot、その他のCRMやMAツールとの連携も可能です。

uSonar

スクリーンショット 2024-04-01 14.11.42

uSonar 公式サイト

「uSonar(ユーソナー)」は820万件の法人企業情報が登録されたデータベースLBCのデータを活用した顧客データ統合ソリューションです。リスト作成や名寄せ機能、名刺管理、分析などABM戦略に欠かせない機能が備わっています。
SalesforceやHubSpotをはじめとするCRMやMAツールとの連携も可能です。

Sansan

スクリーンショット 2024-04-01 14.19.22

Sansan 公式サイト

「Sansan(サンサン)」は100万件以上の企業情報を搭載した、名刺情報の有効活用と企業のDX化を推進するクラウドサービスです。名刺管理だけでなく、帝国データバンクとの連携によって企業の最新情報を活用できるため、既存顧客の理解や新規顧客のターゲティングに役立ちます。
SalesforceやHubSpotとの連携も可能です。

海外で主要なABMツール3選

6sense

スクリーンショット 2024-04-02 10.41.21(大)

6sense はターゲットアカウントがどのような興味や関心を持ち、どんな行動をしているかといった様々なデータをAIや機械学習を用いて分析し、予測するツールです。顧客のターゲティングだけでなく、どのタイミングでアプローチすべきかなど施作の実行を支援します。
SalesforceやHubSpotなどとの連携も可能です。

Demandbase One

スクリーンショット 2024-04-02 11.13.40(大)

Demandbase One はアメリカの Demandbase社が提供するサービスです。ABMの機能だけでなくBtoB広告、AIを利用した予測機能、効果測定や分析機能などが含まれています。
CRMツールやMAツールとも連携が可能です。

Terminus

スクリーンショット 2024-04-02 11.02.29(大)

Terminus はWebサイト分析やインテントデータなどの顧客データをもとに、マーケティングキャンペーンの開発を支援します。キャンペーンのターゲット設定や実行、測定をデータを用いて行います。これにより、マーケティングと営業の連携を強化することが可能になります。
こちらもSalesforceやHubSpotなどと連携が可能です。

導入から実践まで支援するサービスの活用

ABMの導入や運用には、専門知識やリソースが必要です。自社で導入から運用まですべてを一から行うためにはかなりのリソースが必要となります。そこで、導入から実践まで支援するサービスを活用することが重要となります。

アクセサイトは、マーケティングや営業に関するコンサルティング・クラウド導入支援から、Webサイト制作、デジタルを活用したコンテンツ制作・広告運用などを行なっている会社です。

アクセサイトはHubSpot認定のゴールドパートナーであり、HubSpotではABM機能も用意されています。直感的な操作が可能で、ABM戦略を素早く策定できるほか、データの一元管理によりマーケティング部門と営業部門との連携を促進できるでしょう。

HubSpotは国内のFORCASやユーソナー(uSonar)、海外の6sense、Demandbase One、Terminusなどの各種ツールとの連携も可能です。

HubSpotを利用したABM運用

HubSpotを利用したABM運用について少しご説明します。

  1. ターゲットアカウントの特定
    「ターゲットアカウント機能」を活用して、対象企業の業界や規模、地域などを基にターゲットアカウントを選定することができます。
  2. 営業とマーケティングの連携
    同じプラットフォームに営業とマーケティング担当者をユーザー追加することで、双方での情報共有やターゲットアカウントへの共同アプローチが可能です。これにより、より効果的なアカウント獲得が期待できます。
  3. パーソナライズドコンテンツ
    パーソナライズド機能スマートコンテンツ機能を活用し、ターゲットアカウントにパーソナライズしたコンテンツ配信やコンテンツ表示が可能です。
  4. 効果測定と最適化
    HubSpotのダッシュボードやレポートを活用してABM運用の効果を測定し、運用の最適化を図ります。

Group 35

HubSpotのターゲットアカウント設定画面のイメージ

これらの方法で、HubSpotを利用したABM運用が可能となり、企業のリード獲得や売上向上に貢献します。

まとめ:ABMによる顧客エンゲージメントの最大化

ABMは顧客エンゲージメントを最大化する戦略であり、効率的な運用が重要です。効率的なABM運用を実現するツールや、導入から実践まで支援するサービスを活用することで、営業とマーケティングチームの連携が強化され、ターゲット企業の獲得やビジネス成果向上に貢献できます。

これからABM導入を検討している企業や、既存のABM運用を見直したい方は、ぜひこれらのツールやサービスを検討してみてください。さらに詳しい情報を知りたい方は、ぜひ一度アクセサイトにご相談ください。

この記事をシェアする

Facebook Twitter LinkedIn note はてなブログ
アクセサイト編集担当

アクセサイト編集担当

マーケティングDX・営業DXに関連するお役立ち情報を投稿しています。
以下の公式SNSでも情報を発信していますので、ぜひフォローをお願いします!

SHARE

Facebook Twitter LinkedIn note はてなブログ
前の記事へ ブログ一覧へ戻る 次の記事へ